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何者ー朝井リョウ

新潮文庫『何者』朝井リョウ

 

あ まだお読みでない方は先にお願いできますか?

(若干ネタバレ入ってますんで)

あっ よろしかったら是非お待ちしてますのでエエ

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(『他人暮らし 谷川史子 告白物語より)

 

 

ネタバレするかはわからないんですけど、ぽろっとやりそうだし、それは申し訳ないので。

ちゃんと注意したからね?ネタバレあるやないか!って怒らないでね。

あと、これ読んだあとに何を書いても痛い奴になるのはわかってるから、開き直って書きます。

 

題名を聞いたことはあるものの、買ってなかった本だったのだけれど、ようやく読んだ。

なんだか流行りのものを脳直で買うのはダサい気がして(あとお金がないし、選ぶ目もない)、ブックオフに出るのを待つのだけれど、気になってた上に先輩の口から出たのでそのまま本屋に直行した。

『シューカツ!』が青春就活小説(?)なら、『何者』は真逆を行くと思う。

就活本と聞いていたけれど、正直メインは就活じゃなかったように思う。ページを開いた瞬間に6人のTwitterアカウントが出てきて面食らったけれど、それが象徴的だ。

本屋で開いてみたページがほぼクライマックスの理香とのシーンだったので、最初から二宮拓人は自分に思考が近いに違いないと読み進めた。観察者でありたいって思ってる。

 

実際、拓人の思考回路は自分と酷似していたし、身に覚えのありすぎる行動だった。痛いやつだなって斜に構えてなにもしないのが一番格好悪いことに大学半分を過ぎてから気づいたし、未だに斜に構える癖は治らない。見栄を張ってギリギリまで相談できなくて、ギリギリの、本当にギリギリの、もはやギリアウトくらいの段階になってようやく人に連絡するくらいには、「格好悪い」と思われれることを怖がっている。

この格好悪さは、痛いと馬鹿にする奴にすらなれない自分から来ていて、自分で主役を張れないところにある。

いつだか、最近飲み会の盛り上がりがイマイチだ、みたいなことを会場の隅で話していた時もそうだった。代が変わり、サークルのコールが減ったころの話だ。コールを馬鹿にする風潮があるけれども、あれは場をあっためるための必要悪だ、みたいなことを真剣に話していた。けれども、そこにいたメンバーは誰も先陣を切らないタイプの、コールを振る勇気のない、横で茶々を入れるしかできない人だった。無論、自分も含めて。

場を回せる話力のあるあの人はすごい、みたいな話もしていたけれど、最初からできたわけではなくて、自分が保身に走り聞き手をしていたときに彼はきちんと挑戦してたくさん失敗して恥をかいていた。そうして1年経って、私は先輩になり、場を回す必要が出て、そこでしどろもどろになって大恥をかいた。ばーか。

自分の同期は仲良くないと言われているけれど、理由は明確で、誰も恥をかきたがらないからだった。「俺たちは急所を握り合ってるから」と爽快に笑っていた上の期のようにはなれない。相手に急所を見せろと要求すれば、自分の痛いところだって見せなくちゃいけない。そこで見せ合ったのが先輩たちで、見せないことを決めたのがうちの期だ。

そうやっていいところしか見せないから、頼るべきときに頼れない。

拓人くんが就職留年したのは、あれだけ仲のいいサワ先輩にすらESを見せられないような、そんなところに原因があると思う。身に覚えがありすぎる。目の前の知人より顔の見えない人事に見られる方が100倍マシだ。それがいかに非効率だと言い聞かせても、見せるには勇気と勢いと信頼関係と、なんかいろんなものが要る。そして、要らないのに見栄だけはある。はは。

 

裏アカに鍵をかけないってわかってた、のくだりは震えた。

持ってはいないけれども、いつかつくろうか、なんて考えていたし、例え裏がなかろうがTwitterから離れられないのは、ほんの少しでもふぁぼを期待していたからだ。人より綺麗な言葉を使う自分。少しのマイルールを持った文。保険をかけまくるくせにいっぱしの表現者気取り。そのくせ日記なんか続いたことがない。見事すぎる3日坊主をしてきた。ブログだってそうだ。そのあたりをまるっと見透かされた気がして、きゃいんとした。

 

読み終えたあと、三浦大輔さんの文庫版解説も読んだ。

とってもかわいかった。

解説は、作品をほめたたえる路線には違いないのだけれど、ちょっとしたエピソードが載っていたりして、好きなのである。

この本の解説も御多分に漏れずそうだったのだけど、首をブンブン縦に振りながら読んだのは初めてだった。デザインをかじってから、目にするもの全てに始終「文字の間隔ばらばらじゃん」とか難癖をつけては安心していたので(明らかに優れている後輩のに対してもしていた。やな先輩だ)、「これ以上ない斜め目線で」という表現は、すごく身に覚えがあった。けれどもそんなやな奴だけでは終わらないのは、三浦さんが素直さを兼ね備えているからだと思う。そういう文章を書けるようになりたい。

 

余裕でネタバレした。解説書く人すごい。